マイクロモータ製品サイト
Home > モータ軸の固定方法|形状別の選定基準
コラム記事マイクロモータ技術解説
コラム記事
モータ軸の固定方法|形状別の選定基準

モータ軸の固定方法|形状別の選定基準

モータ軸 固定方法 Dカット軸 丸軸 キー溝軸 ネジ締結 クランプ締結 キー締結 ピン締結 キーレスブッシング

モータを機器に組み込む際、軸の固定方法が不適切だとスリップによるトルク伝達ロスや異常振動が発生します。最悪の場合、部品脱落による事故や装置破損につながるおそれも否定できません。医療機器や産業用精密機器では、わずかな固定不良が製品性能や安全性に影響を与える可能性があるため、軸形状に応じた正確な固定方法の選定が求められます。

モータ軸には主にDカット軸、丸軸、キー溝軸の3種類が用いられ、それぞれ適用できる締結方式、伝達可能なトルク、加工の難易度が異なります。本記事では、各軸形状の特徴と代表的な固定方法(ネジ締結、クランプ締結、キー締結、ピン締結など)を技術的な観点から解説し、用途別の選定基準を示します。

 
監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ

1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。

 

モータ軸の形状別による固定方法の違い

モータ軸の固定方法|形状別の選定基準

モータ軸の固定方法は、軸形状ごとに適用できる締結方式が異なります。ここでは、代表的な3種類の軸形状について、それぞれの構造と固定方法を解説します。

このセクションで解説する内容

  • Dカット軸の構造と固定方法
  • 丸軸の構造と固定方法
  • キー溝軸の構造と固定方法

軸形状ごとの特徴を把握すると、設計条件や負荷に応じた固定方法が選定できるようになります。

 

Dカット軸の構造と固定方法

Dカット軸は、軸の一部に平面(Dカット面)が加工されており、この平面部を利用して締結を行います。Dカット寸法自体に統一規格はなく、メーカー仕様に依存する場合が多いため、軸に対する加工形状を個別に確認することが必要です。軸の両側にDカットが施されたダブルDカット軸も存在します。

Dカット軸に適用できる主な締結方法は以下のとおりです。

締結方法特徴
ネジ締結平面部をセットスクリュー(イモネジ)で押さえるもっとも一般的な方式
クランプ締結加工した部品で軸を挟み、ネジで締め付ける方式で、強固な固定が可能
面圧締結クランプで軸を挟んで締め付ける方式。Dカット軸よりも丸軸の方が締結力が高く、Dカット軸ではガタつくおそれがあるため確認が必要
ピン締結軸に穴を開けてピンを圧入する方式で、軸強度の低下に注意が必要

タキロンシーアイのギアードモータはDカット軸での供給に対応しており、上記の締結方法と組み合わせて使用できます。

 

丸軸の構造と固定方法

丸軸は外周が連続した円形形状であるため、締結方式の選択によって締結特性が変化する軸形状です。締結方法としては面圧締結、ネジ締結、ピン締結が一般的で、特にクランプなどの面圧締結では軸全周を均等に拘束できるため、適切な締め付け条件下で安定したトルク伝達が可能です。

 

キー溝軸の構造と固定方法

キー溝軸は、キーによって高いトルク伝達能力を確保できる軸形状です。出力軸に高トルクが発生する用途で使用されます。キー(突起状の金属部品)を軸と回転体の溝にはめ合わせる構造で、確実なトルク伝達が可能です。

キー寸法はJIS規格で標準化されており、軸径が決まるとキー寸法も決まります。ただし、回転体側のキー溝加工には以下のような専用の工作機が必要です。

設備名特徴
ブローチ盤内径キー溝の量産加工に適する。専用機と専用刃物が必要
スロッター内径キー溝の加工が可能。加工速度はブローチ盤より遅い
ワイヤー放電加工機複雑な形状にも対応可能。加工時間がかかりコストが高い

加工設備が限られるため、設計段階で加工の可否を確認する必要があります。高トルクの伝達が求められる産業機器やポンプ駆動などの用途では、キー溝軸の採用が適しています。

※一般的なモータの話であり、マイクロモータの話ではありません。

 

モータ軸と部品を接続する締結部品の種類

モータ軸の固定方法|形状別の選定基準

モータ軸と駆動対象部品を接続する際、締結部品の種類によっては、着脱性の向上や芯出し誤差の吸収が可能になります。ここでは代表的な締結部品と、軸形状との最適な組み合わせを解説します。

このセクションで解説する内容

  • カップリングの種類と選定基準
  • キーレスブッシングの特徴と用途
  • 軸形状と締結部品の最適な組み合わせ

締結部品の選定は、モータ軸の形状だけでなく、伝達トルクやメンテナンス頻度にも左右されます。

 

カップリングの種類と選定基準

カップリングは、モータなどの駆動軸と従動軸をつなぎ、動力を伝達する機械要素部品です。モータ軸を延長したいとき、あるいはモータ軸に直接加工を施したくないときに使用します。ネジ締結、面圧締結、キー締結など、さまざまな締結方法に対応した製品が存在します。

カップリングの代表的な種類は以下のとおりです。

種類特徴
リジッド形たわみ性がなくねじり剛性が高い。

軸の高精度な芯出しが必要

オルダム形偏心や偏角を許容でき、組み立てが容易。

高速回転用途では仕様確認が必要

ディスク形バックラッシュを抑えた設計が可能で高速回転に対応。

シンプルな構造で着脱も容易

ジョー形弾性体が衝撃や振動を吸収する。

汎用性が高い

選定時には、許容トルク、ミスアライメント(芯ずれ)の許容量、回転数を基準に、設計条件に適した種類を選択します。医療機器や産業機器では、メンテナンス時のモータ交換作業性も考慮すると効率的です。タキロンシーアイのマイクロモータはDカット軸・丸軸での供給に対応しており、各種カップリングとの接続が可能です。

 

キーレスブッシングの特徴と用途

キーレスブッシングは、軸と歯車やプーリーなどの回転体(ボス)を直接締結する部品です。テーパ形状による「くさびの原理」を利用し、面圧締結によってトルクを伝達する構造を有しています。ボルトを締め付けるとテーパ面が軸とボスの間に高い摩擦力を発生させ、キー溝加工なしでも強固な固定が可能です。

キーレスブッシングには以下の利点があります。

【キーレスブッシングの主な利点】

  • キー溝加工不要による、軸とボスへの応力集中抑制
  • ボルトの締め換えのみによる、容易な着脱
  • 接触面全体の摩擦力発生による、高いトルク伝達能力の確保

産業用ポンプやコンベアなど、頻繁な着脱が必要な用途で採用される締結部品です。

 

軸形状と締結部品の最適な組み合わせ

軸形状と締結部品を適切に組み合わせると、用途に応じた最適な固定方法を実現できます。以下に、軸形状ごとの推奨される締結部品と締結方法を整理します。

軸形状推奨される締結部品・方法適した用途
Dカット軸ネジ締結・クランプ締結のカップリング標準的な小型モータの接続、部品選定が容易
キー溝軸キー締結のカップリング出力軸に高トルクが発生する高負荷用途
Dカット軸は小型ギヤボックスで採用される形延期した状であるため、対応する締結部品の選択肢が豊富で、設計工数を抑えられます。

また、高負荷用途ではキー溝軸とキー締結カップリングの組み合わせが適しています。用途条件に合った組み合わせを選定し、試作段階で性能を検証する流れが推奨されます。

※一般的なモータの話であり、当社マイクロモータの話ではありません。

 

モータ軸固定方法の実務上の留意点

モータ軸の固定方法|形状別の選定基準

モータ軸の固定方法には、それぞれ実務上の留意点があります。締結方式ごとの特性を理解し、設計段階で対策を講じることで、組み立て後のトラブルの防止につながります。

このセクションで解説する内容

  • ネジ締結の緩み発生メカニズムと対策
  • キー締結の加工難易度とコスト課題
  • ピン締結の強度低下リスクと適用範囲

各締結方法の弱点と対策を把握し、用途条件に合った固定方法を選定してください。

 

ネジ締結の緩み発生メカニズムと対策

ネジ締結(止めネジ)は簡便な方法ですが、緩みが発生するおそれがあります。止めネジは締結力が弱いため、低負荷の用途には適していますが、高負荷用途では慎重な検討が必要です。

ネジが緩む主な要因の一つとして、座面と部品間の摩擦力低下があります。緩みの発生パターンは、ナットが回転せずに緩む場合(初期緩み・陥没・振動・温度差)と、ナットが戻り回転して緩む場合の2種類に分類されます。

緩み防止の対策としては、定期的な増し締めで軸力を回復させる方法があります。また、ばね座金や歯付き座金の使用、ダブルナットによる締め付け、ネジ部への緩み止め接着剤の塗布も有効です。止めネジ(セットスクリュー)は座面を持たない構造のため、通常のボルト・ナットで使用する座金類は適用できません。止めネジの緩み防止策としては、ネジ部への緩み止め接着剤(ネジロック剤)の塗布を行います。Dカット軸の場合は平面部をネジで押さえつける構造のため丸軸より緩みにくいですが、高負荷がかかる用途ではクランプ締結や面圧締結への変更を検討してください。

 

キー締結の加工難易度とコスト課題

キー締結は高いトルク伝達能力を確保できる方式ですが、キー溝加工には専用設備が必要です。特に回転体側のキー溝加工は、対応できる設備が限られており、個人や小規模な工場では対応が難しい場合があります。

キー溝加工に必要な設備と特徴は以下のとおりです。

設備名特徴
ブローチ盤内径キー溝の量産加工に適する。設備導入コストが高い
スロッター内径キー溝の加工が可能。加工速度はブローチ盤より遅い
ワイヤー放電加工機複雑な形状にも対応可能。加工時間がかかりコストが高い

一般的に加工コストと組み立て工数は、増加する傾向があります。設計段階でキー溝加工の可否を確認し、加工先の設備状況を事前に把握する必要があります。高負荷用途で確実なトルク伝達が求められる場合には、コスト増を考慮してもキー締結の採用が適切です。

 

ピン締結の強度低下リスクと適用範囲

ピン締結は、軸に穴を開けてピンを圧入する方式です。穴を開けた部分の軸強度が低下し、応力集中が発生する点に注意が必要です。加工精度が悪いと、ピンが正しく圧入できず締結そのものが成立しません。

十分な強度計算と加工精度を確保できない場合には慎重な検討が必要です。ただし、個人製作で止めネジよりもしっかり固定したい場合には、ノックピン(平行ピン、テーパーピンなど)を使用する方法もあります。個人製作のロボットや試作機では有効な選択肢です。

なお、タキロンシーアイのコアレスモータは鉄芯を持たないため、原理的にコギング(回転ムラ)が発生せず、モータ動作時の振動が少ない特性を持っています。モータ選定の段階で振動特性を考慮すると、締結部への負荷を軽減した設計が可能です。

 

まとめ

モータ軸の固定方法|形状別の選定基準

モータ軸及びギヤヘッドの出力軸の固定方法は、軸形状(Dカット軸・丸軸・キー溝軸)と用途条件に応じて適切に選定する必要があります。Dカット軸は小型ギヤボックスで採用される形状で、ネジ締結やクランプ締結との組み合わせが一般的です。丸軸は全周接触が可能なため、クランプなどの面圧締結方式と組み合わせることで高いトルク伝達能力を確保しやすい形状です。キー溝軸は高いトルク伝達能力を確保でき、高トルク用途に適しています。

ネジ締結は簡便ですが緩みが発生するおそれがあり、キー締結は強固ですが加工設備が限られる実務上の特徴があります。カップリングやキーレスブッシングなどの締結部品を活用すると、着脱性やメンテナンス性をさらに向上させられます。

軸形状ごとの特性と締結方法の利点・留意点を把握し、設計段階から最適な組み合わせを検討してください。

 

 

製品情報・お問い合わせ

タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。

お客様の製品開発における小型モータ選定でお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。技術担当者が用途や要件をヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。

 

お問い合わせ

    1. お問い合わせ内容

    2. お客様情報 ※: 必須項目

    ◆会社名/団体名

    ◆氏名

    ◆郵便番号

    ◆住所

    ◆建物名

    ◆電話番号

    ◆e-mail

    ◆e-mail(確認用)

    個人情報保護方針をご確認いただき、同意の上「確認画面へ進む」ボタンを押してください。

    営業・勧誘目的としたお問い合わせはご遠慮ください

    確認画面へ進む